奈良県桜井市にある大神神社には「くすり道」とよばれる道があるのをご存じでしょうか。
大神神社のご祭神、大物主神様は「方除けの神様」、「縁結びの神様」であるとともに、「薬の神様」としても知られています。
儀式殿左から狭井神社へ向かう参道が「くすり道」といわれていて両脇には、薬業関係者が奉納した薬木や薬草が根を張っています。木槿(ムクゲ)、木瓜(ボケ)、桑(クワ)、樟(クス)、朴の木(ホオノキ)など参道の木々と一体化するほど大きく育ったものもあれば、南天、梔子(クチナシ)、マタタビなどすぐに見つけられるものなどがありました。
現在46種類の薬草木が植えられているそうです。平安時代の医学書の大同類聚方(だいどうるいじゅほう)に大神神社に伝わる薬として「花鎮薬」「大神薬」「三諸薬」という三種の薬が製法・効能とともに記されているそうです。
奉納された薬草にはわかりやすい説明板もついているので、この「くすり道」は、じっくり見ながら歩くことで自然の恵みと人の祈りが感じられる道であると感じました。